アガサ・クリスティー ミス・マープル、シーズン2第3話、4話のあらすじと感想です。
両方とも原作ではミス・マープルは出て来ませんが、ミス・マープル物として楽しめるエピソードです。
第3話 親指のうずき
トミーとタペンスが叔母に会いに行った6週間後、叔母が死亡する。叔母の私物に絵があり、絵の裏から謎のメモを発見。叔母が亡くなったのと同じ日、同じホームの老女が行方不明になっていた。
あらすじ
トミーとタペンス・ベレズフォード夫妻はトミーの叔母エイダが入居している養護ホームへ。
エイダに嫌われているタペンスは部屋から追い出され、ロビーでトミーを待っていた。
近くにいたランカスター夫人とおしゃべりしていると、夫人は暖炉の奥に子供の死体が埋められていると言い出す。
6週間後、トミーが出張中の中、施設から電話があり、エイダが死亡したとのこと。
エイダの荷物がタペンスの家に送られて来て、タペンスは叔母の部屋で見た事のない絵が混じっていた。
絵の裏側に手紙があり「ランカスター夫人は安全ではない」と書かれている。
タペンスは施設を訪れて責任者と話すと、ランカスター夫人は家族に引き取られたと聞かされる。
2人のやり取りを聞いていたミス・マープル。彼女は友人のマージョリーに会いに来ていた。
マージョリーが言うには、ランカスター夫人は無理やり誰かに連れて行かれたとのこと。
タペンスはマープルに絵を見せ、2人でランカスター夫人の行方を探し始める。
絵に描かれた家の大まかな場所がわかり2人は向かうが、途中で車がエンコしてしまう。
通りかかった車に助けられ、2人はファレル・セント・エドマンド村へに滞在することに。
雑感
原作は「トミーとタペンス」シリーズなので、マープルさんがどうストーリーに絡むの?と、とても楽しみでした。
全然、違和感がなかったし、タペンスとのコンビも相性抜群でしたね。
序盤は2人のコミカルなシーンもあって楽しかったし、ストーリーが進むにつれてお互いの良い所がいいバランスで発揮されていました。
マープルさんが捜査に加わった分トミーの活躍が少なかったけど、タペンスが危機一髪のところを救ったのは愛する夫だったのが素敵です。
ダメダメな巡査のイーサンとか、ローズとクリスの恋愛など、サブキャラのちょっとしたストーリーも楽しめました。
今回は現地の警察が全く当てにできないから警察なしで解決かと思ったら、トミーとトミー経由でロンドン警視庁がお出まし。
それもこれも、マープルさんが電話で強引にトミーと話してくれたおかげですね。
相変わらずマープルさんの推理は冴えわたっていて、タペンスが叔母を殺したのはパッカードさんだと思っているのを諭したり、リリー殺しの真実を司祭が告白する前に言い当てたりなど、さすがのご活躍でした。
キャスト
■ ミス・ジェーン・マープル – ジェラルディン・マクイーワン
友人のマージョリーに会いに来て、タペンスと知り合う。
ランカスター夫人失踪について、タペンスと調べ始める。
■ トミー・ベレズフォード – アンソニー・アンドリュース
タペンスの夫、諜報機関で働いている。
タペンスとマープルからの電話で、叔母の死について捜査を始める。
■ タペンス・ベレズフォード – グレタ・スカッキ
トミーの妻。
叔母エイダの遺品整理中に絵と手紙を見つけ、叔母の死に不信感を持ち調べ始める。
■ パッカード – クレア・ホルマン
エイダやランカスター夫人が暮らしていたホームの責任者。
■ マージョリー・ムーディ – ミリアム・カーリン
ミス・マープルの友人。
ランカスター夫人が連れて行かれた夜のことを、マープルとタペンスに話す。
■ ランカスター夫人 – ジューン・ウィットフィールド
エイダやマージョリーと同じホームにいて、タペンスに暖炉に埋められた子供の話をする。
ある夜、誰かに連れ去られ行方不明に。
■ エイダ叔母さん – クレア・ブルーム
トミーの叔母。タペンスのことを毛嫌いしていた。
トミー達が訪問して数週間後、心臓発作で亡くなる。
■ フレディー・エックルズ – スティーヴン・バーコフ
弁護士。
ランカスター夫人がホームから退去する手続きを担当。
■ ティモシー – パトリック・バーロウ
マープルの友人で美術品の鑑定を行う。
■ クリス・マーフィ – O・T・ファグベンル
アメリカ軍の兵士。
ローズと付き合っているが、誤解されけんかしてしまう。
■ エイモス・ペリー – ジョディ・ホールズ
タペンスの壊れた車を修理した修理工。
■ ハンナ・ベレズフォード – ジョシー・ローレンス
マープルとタペンスが泊っている宿屋のオーナー。
司祭と親しい関係。
■ ジョシュア・ウォーターズ – マイケル・マロニー
ローズの父で医師。
双子の子供のもう1人を亡くしている。
■ ローズ・ウォーターズ – ミシェル・ライアン
ジョシュアの娘で、ハンナの店で働いている。
クリスが浮気していると勘違いし、イーサンのプロポーズを受ける。
■ イーサン・マクスウェル – マイケル・ベグリー
村の巡査で、ローズに恋している。
恋敵のクリスを罠にはめようとする。
■ ネリー・ブライ – リア・ウィリアムズ
司祭の妻で、スターク卿の秘書。
■ セプティマス・ブライ – チャールズ・ダンス
村の司祭で、お酒におぼれ気味。
妻とは上手くいっていない。
■ ベティ・ジョンソン – ボニー・ラングフォード
エリックの妻。
■ エリック・ジョンソン – ブライアン・コンリー
村で店を経営している。
ジョンソンという名前だが、ランカスター夫人は知らないとタペンスに説明する。
■ フィリップ・スターク卿 – レスリー・フィリップス
村の富豪。
妻と子供を亡くし、村の子供達をかわいがっている。
■ ノラ・ジョンソン – イライザ・ベネット
エリックとベティの娘。
スターク卿にかわいがられ、映画の主役を務める。
作品データ
原題:By the Pricking of My Thumbs
放送日:2006/2/19
監督:ピーター・メダック
脚本:スチュワート・ハーコート
第4話 シタフォードの謎
次期首相候補の大佐が滞在先のホテルで殺される。大佐の被後見人の若者が犯人だとされるが、彼のフィアンセは信じていない。
あらすじ
大雪で吹雪になっているある日、次期首相候補のトレヴェリアン大佐は隣人のレイモンドから、叔母ジェーンをシタフォード山荘に滞在させてほしいと頼まれる。
叔母と一緒に過ごすはずだったがフランスから戻れなくなり、叔母のことが心配だとのこと。
ミス・ジェーン・マープルはシタフォード山荘にやって来て、電話中の大佐に手を振って挨拶をする。
大佐はエグザンプトンにあるホテルに泊まることに。
その夜、ウィレット夫人の提案で大佐や他のホテルの滞在客も参加し降霊会を開くと、トレヴェリアン大佐が死ぬというメッセージを受け取る。
シタフォード荘に大佐の被後見人の婚約者エミリーと、エミリーの親類チャールズがやって来る。
大佐の政務官でもあるエンダービィが飼っている鳥が大佐宛に届いたゼリーをついばんでいた。
マープルはエミリー達とおしゃべりしながらゼリーを食べようとすると、突然、鳥が死んでしまう。
何者かが大佐を殺そうとゼリーに毒を入れて送って来たらしい。
トレヴェリアン大佐の身が心配になったエンダービィはホテルに向かい、少し遅れてチャールズもエンダービィの後を追う。
2人が大佐の部屋に行ってみると、胸をナイフで刺されて死んでいた。
雑感
ミス・マープルが出て来ない作品に、マープルさんを入れたチャレンジングなエピソードです。
作品としては楽しめたけど、ちょっと偶然が多すぎるように思います。
マープルさんの甥レイモンドの家がトレヴェリアン大佐の隣だったり、その縁でマープルさんが大佐の家で過ごすことになったり…。
さらに、レイモンドの元婚約者エミリーがジムの婚約者で、大佐の家で再会するなど、ちょっと無理がある部分がありましたね。
元婚約者の叔母に今の婚約者の家で会うとは、エミリーも相当気まずかったでしょう。
マープルさんは完全に安楽椅子探偵に徹していて、シタフォード荘の資料とエミリー達から聞いた話だけで犯人を見つけ出しました。
エミリーからチャールズを紹介された時から、何となくいけ好かないイケメンだと思っていそう。
エミリーは美しくて賢そうなのに、何であんな飲んだくれのジムなんかと婚約したのか疑問です。
事件後にジムは「俺は変わる」なんて言っていたけど、相変わらず酒を飲んでいつも通りって感じでした。
最後にはエミリーもジムのクズっぷりに気づいたのか、婚約解消して旅行に行ったのは正解ですね。
マープルさんが甥のレイモンドと背格好が一緒だと、出掛ける間際のトレヴェリアン大佐にセーターの袖を当てていたのがとてもかわいくて、お気に入りのシーンです。
キャスト
■ ミス・ジェーン・マープル – ジェラルディン・マクイーワン
甥レイモンドの家のお隣、シタフォード荘に泊まっている。
シタフォード荘の主人トレヴェリアン大佐の殺人事件を推理する。
■ クライブ・トレヴェリアン – ティモシー・ダルトン
シタフォード荘の主人で、次期首相候補。
エグザンプトンのホテルで殺される。
■ アーサー・ホプキンス – ロバート・ヒクソン
エジプトで発掘作業をしていた教授。
■ ウィンストン・チャーチル – ロバート・ハーディ
現在の首相で、次期首相候補としてトレヴェリアン大佐を推している。
■ ジェイムズ・ピアソン – ローレンス・フォックス
トレヴェリアン大佐の被後見人。
遺言から外すという手紙を受け取り、大佐に腹を立てている。
■ チャールズ・バーナビー – ジェームズ・マーレイ
トレヴェリアン大佐にインタビューを目論む新聞記者。
エミリーに取り入り、大佐に会おうとする。
■ エミリー・トリフューシス – ゾーイ・テルフォード
ジムの婚約者。
大佐殺しの容疑者としてジムが拘束され、事件を調べ始める。
■ アハメド・ガリ – ジェフリー・キッスーン
シタフォード荘の従者。
■ ジョン・エンダービィ – メル・スミス
トレヴェリアンの政務官。
トレヴェリアンの身に危険が迫っていると見て、吹雪の中ホテルへと向かう。
■ エリザベス・パースハウス – リタ・トゥシンハム
ホテルの滞在客。
メガネが見つからず、視界がぼんやりしている。
■ スタンリー・カークウッド – ジェームズ・ウィルビー
トレヴェリアン大佐達が滞在しているホテルの主人。
■ アンブローズ・バート – ポール・ケイ
ジマーマンの専属医師。
実は医師免許は持っていない。
■ マーティン・ジマーマン – マイケル・ブランドン
金持ちのホテルの滞在客。
トレヴェリアン大佐に書類にサインしてくれと頼む。
■ ヴァイオレット・ウィレット – キャリー・マリガン
ウィレット夫人の娘。
内気な性格で、いつも母親から文句を言われている。
■ エヴァドネ・ウィレット夫人 – パトリシア・ホッジ
ホテルの滞在客で、ヴァイオレットの母。
バードウォッチングについて聞かれ、冬毛で丸々していると答える。
■ ドナルド・ガーフィールド – マシュー・ケリー
スミス-ジョーンズという偽名で宿泊。
次期首相候補の地域について調べに来た。
■ アーチー・ストーン – マイケル・アトウェル
ホテルの料理人。
作品データ
原題:The Sittaford Mystery
放送日:2006/4/30
監督:ポール・アンウィン
脚本:スティーヴン・チャーチェット
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