アガサ・クリスティー ミス・マープル、シーズン1第2話「牧師館の殺人」のあらすじと感想です。
牧師館の書斎で、村の嫌われ者だったプロズロウ大佐が殺されます。
訳ありの画家が自供し、画家の浮気相手も自分が犯人だと名乗り出て…。
あらすじ
クレメント牧師は電話で呼び出され、出がけにメイドのメアリにプロズロウ大佐が来たら待っていてもらうよう言い伝える。
牧師館に戻ったクレメントは入口で画家のローレンスとぶつかる。
大佐が待つ部屋に入ると机に突っ伏し、頭を撃たれ死んでいた。
スラック警部らがやって来て捜査が始まり、ヘイドック医師は死亡してから30分は経っていないと述べる。
部屋には壊れた時計があり、時刻は6時20分で止まっている。
大佐は何かメモを残していて、18時20分と時刻が書かれていた。
ヘイドックと共にミス・マープルの所へスラック警部が話を聞きに来る。
足をねんざしているマープルはずっと庭にいて、人々の行動を見ていた。
ローレンスは自分が大佐を殺したと自首し、大佐の妻アンがその後、自分が殺したと自供する。
ローレンスとアンは不倫していて、村中の噂になっていた。
2人とも相手が大佐を殺したと思ってかばうために嘘の自白をし、マープルは状況的に2人には殺せないとスラック警部に助言して2人は釈放される。
プロズロウ大佐は口うるさく怒りっぽい性格で、村中の人達から嫌われていた。
娘のレティス、最近村にやって来たレスター夫人、大佐の家に滞在していたデュフォス教授と孫娘、クレメント牧師の妻など、怪しい人物は多く、ミス・マープルはどうやって犯人を追い詰めていくのか?
雑感
今回のマープルさんは足をねんざして、あまり動けなかったのに頭脳はさえわたっていました。
前回も感じたけど、マクイーワン版マープルさんは表情がとても豊かでとても愛らしい!
アンとローレンスの不倫になぞらえて、若かりし頃のマープルさんの恋の思い出なんかも回想シーンで盛り込まれていてかなりドラマチックでした。
若い頃のマープルさんはかなりの美人さんで、汽車での恋人との別れのシーンはとても切なかったですね。
最初に一緒に撮っていた恋人との写真を今でも大切にしていて、ふとした時に愛おしそうに見返しているマープルさんが素敵です。
拾ったタバコの匂いをかいだりなど、ふとした事で懐かしい思い出がよみがえったんでしょうね。
若かりし頃の不倫エピソードを盛り込むのは人間味が出ていいけど、ちょっと強引だったような気もしますが…。
マープルさんはセント・メアリー・ミードの住民みんなに愛されているし、探偵としての実力も知れ渡っているんですね。
足に怪我をしてしまってみんなが入れ替わり立ち替わりお世話しに来ていたし、お茶と噂話の会もお茶会ごとマープル宅にやって来たのは信頼されている証拠。
それと同時にカウンセラーばりにみんなの相談に乗って、アドバイスしていました。
色んな秘密や話を村の人達から聞いていたからこそ、他の事件でも「村のだれそれさん」になぞらえて推理していたのでしょう。
マープルさんとクラドック警部の初対面はなかなか面白かったです。
警部は大きな声でゆっくりしゃべったり、耳は大丈夫か?と、マープルさんを完全に年老いたご婦人として扱っていました。
本部長から電話か何かあったらしく、次にマープルさんに会った時はバツが悪そうでしたね。
でも、だんだん仲良くなって、マープルさん家で洗い物をするまでになるとは驚きました。
「チョコレートをあげようか杖を蹴飛ばそうか迷うよ」とポロっと本音をもらしたけど、しっかりマープルさんには聞こえていて「チョコにしてちょうだい」と言っていたところは大爆笑です。
「記憶を心に刻むタイプ、なんでも覚えているの」
犯人の最大の失敗は、マープルさんを目撃者にしてしまったこと。
他の人では些細なことまで覚えていないから、マープルさんならって選んだんだろうけど、マープルさんの力を見くびっていましたね。
確かに細部まで覚えていたけど、彼女の並外れた洞察力や推理力は想像以上でした。
警部の言葉でピンときて、そこからは自然と流れるようにマープルさんの中で全てがつながったんでしょう。
そこからの謎解きや犯人を追い詰めていく姿はさすがだったし、犯人も計画が狂ってしまい負けたと思ったでしょう。
エンディングは目新しかったけど、これはちょっとね。
現代風アレンジで最後の処刑シーンをちチラっとはさんむとは、何ともショッキングです。
エンディングを盛り上げるためにインパクトを与えたかったんだろうけど、マープル物にはちょっと不似合いでしたね。
お気に入りシーンはマープルさんのハートのルーペです。
すごくかわいい!
現代だったら、SNSできっとバズるんじゃないでしょうか。
キャスト
■ ミス・ジェーン・マープル – ジェラルディン・マクイーワン
足をねんざして庭でゆっくりしている間に殺人事件が起きる。
自分が見た物と人々の話から、犯人へと迫っていく。
■ レナード・クレメント牧師 – ティム・マッキナリー
偽電話で呼び出され、牧師館に戻って遺体を発見。
妻が怪しいという脅しの手紙を受け取り、机の下で見つけたイヤリングをマープルに渡す。
■ メアリー・ヒル – ショーハン・ヘイズ
牧師館のメイド。
恋人のフランクを刑務所に入れたプロズロウ大佐を恨んでいる。
■ グリセルダ・クレメント – レイチェル・スターリング
年の離れた牧師の妻。
ロンドンへ買い物へ行ったはずだが、何も買っていない。
■ デニス・クレメント – ジュリアン・モリス
牧師の甥っ子。
レティスに気があるが、友達でいようと言われる。
■ ロナルド・ホーズ – マーク・ゲイティス
副牧師。
サッカーくじを買うのが趣味。
■ ヘイドック医師 – ロバート・パウエル
セント・メアリー・ミードの医師。
マープルの足の治療をする。
■ レスター夫人 – ジェーン・アッシャー
最近、セント・メアリー・ミードにやって来た。
プロズロウ大佐が会いに行き、口論になっている。
■ アン・プロズロウ – ジャネット・マクティア
プロズロウ大佐の妻。
ロレンスと不倫していることを村中に知られてしまう。
■ プロズロウ大佐 – デレク・ジャコビ
セント・メアリー・ミードの判事。
口うるさく、みんなから嫌われている。
■ ミス・ハートネル – アンジェラ・プレザンス
マープルの友人で噂好き。
■ プライス=リドリー – ミリアム・マーゴリーズ
セント・メアリー・ミードの住人。
夫と息子を亡くしている。
■ レティス・プロズロウ – クリスティーナ・コール
プロズロウ大佐の娘。
ロレンスの絵のモデルをやっている。
■ ロレンス・レディング – ジェイソン・フレミング
牧師館の小屋に住む画家。
アンと不倫関係で、時々、マープルに相談している。
■ オーギュスティン・デュフォーズ – ハーバート・ロム
プロズロウ大佐の家に滞在する記者。
大佐の家をフランスの雑誌に載せるため調査している。
■ エレーヌ・デュフォーズ – エミリー・ブルーニ
デュフォーズ教授の孫娘。
閉まっている扉や金庫を開けようとするなど、怪しい行動を取る。
■ フランク・タラント – ポール・ホークヤード
メアリーの恋人で、プロズロウ大佐の判決で刑務所送りに。
■ タラント夫人 – ルース・シーン
ロレンスの部屋の掃除をしている。
■ 若い頃のマープル – ジュリー・コックス
恋人の写真を撮り、戦争に行く恋人を見送る。
■ スラック警部 – スティーヴン・トンプキンソン
プロズロウ大佐の事件を捜査する警部。
徐々にマープルを信頼し、意見を聞き入れる。
作品データ
原題:The Murder at the Vicarage
放送日:2004/12/19
監督:チャーリー・パーマー
脚本:スティーヴン・チャーチェット
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