そして誰もいなくなった(1945)

そして誰もいなくなった-1945年 アガサ・クリスティー

1945年のアメリカ映画「そして誰もいなくなった」のあらすじと感想です。

あらすじ・感想

見知らぬ同士8人が船に乗り、インディアン島を目指しています。
少し風が強くて、女性のスカーフが左の客、右の客の顔にかかり、ちょっと迷惑そうです。
海は少し荒れていて船をこいでいる人は平気で食べ物を食べていますが、船に慣れていない何人かは船酔い気味。

断崖絶壁の孤島には屋敷があり、そこでロジャース夫妻が温かく迎えてくれます。
みんなを招いたのはオーウェン夫妻でロジャース夫妻も会ったことがなく、遅れて到着するとみんなに伝えます。

食事も終わり、ニキことニキータ・スターロフが童謡「十人のインディアン」をピアノを弾きながら歌ってくれました。
ここはインディアン島、テーブルにはオーウェン夫妻の趣味なのか10人のインディアンの置物があり、ピアノの前に意味ありげに楽譜が置いてありました。
童謡なのに歌詞の内容はとてもシュールだし、メロディもちょっと暗い感じですね。

蓄音機から声が聞こえてきて、オーナーのオーエン氏らしいです。
招待客1人1人の罪を告発していき、ロジャース夫人がショックで倒れてしまいます。

レコードをかけたのは執事のロジャースで、時間になったらかけるようにとオーウェン氏から指示されていました。
多分、オーエン氏が事前にレコードに声を録音しておいて、ロジャースに手紙で指示を与えていたのでしょう。
アームストロング医師が薬をロジャース氏に渡し、奥さんを休ませるよう言います。

お酒を口にしたスターロフが急に苦しみだし、そのまま死んでしまいます。
その夜はみんな自室へと戻りますが、置物のインディアンが1つ壊されていました。

翌朝、ロジャース夫人がベッドで亡くなっているのをロジャースが見つけます。
そして、置物がまた1つ減っていました。

オーウェン夫妻は罪を犯した10人を島に閉じ込め、1人ずつ殺しているようです。
殺害方法や演出にもこだわっていて、童謡になぞらえ1人殺したら置物を1つ減らしていますね。

島にオーウェンが隠れているんじゃないかとみんなで探しても、隠れられるような場所なんてありません。
つまり、オーウェン氏はみんなの中に潜んでいて、みんなの目を盗んで罪人を自ら処刑人となり罰しています。

誰がオーウェンなのか、無記名で投票しようということになります。
ヴェラだけ誰からも投票されずロジャースが2票、後の人はみんな1票ずつ入りました。

自分が疑われていると知ったロジャースはちょっと腹を立ててしまいます。
自分が入れたお酒に飲まない人がいて毒を入れたと疑われていると思い込んで、自分でお酒を大量に飲んでしまいます。

その後の食事シーンでは、酔っぱらってグチを言っているロジャースが面白いです。
大皿からみんな食べ物を取りたいのですがロジャースがヨロヨロしてお皿が揺れて取れなかったりして、まさにコメディ。

みんなもお腹が空いているからロジャースをなだめようとするけど、相手は酔っぱらっているから話が通じなかったりもします。
そんな会話のやり取りも楽しいですね。

ストーリー内容だけだとかなり重たくて恐怖を感じますが、ユーモア要素もありそこまで怖くはないです。
みんなの会話や行動なども明るいし、時々出て来る子猫が癒しでもあります。

次は誰がどんな風に殺されてしまうんだろう?と、物語の中に引き込まれていきますね。
特に中盤から終盤はお互い疑心暗鬼になって相手を警戒しながらも、犯人を見つけ出そうと必死です。

途中で発電機が壊れて真っ暗闇になるんですが、生き残っている人達は相当怖いでしょうね。
犯人が誰かもわからないですし、ちょっとした隙に命を奪われてしまうかもしれません。

そんな状況でも、パニックになったり異常な行動を取る人がいなかったのは救いです。
ロジャースがそれに近かったけど、あくまでもお酒のせいだし節度をわきまえていましたから。

エンディングは賛否両論ありそうですが、個人的には好みでした。
物語は全般的にそんなに残酷さがなく重苦しくもなかったし、笑いどころもあって楽しめました。

原作の小説とは違っていて、アガサ・クリスティー自身が書いた戯曲がベースとなっているようです。

サスペンスとして大いに楽しめましたが、謎解きしてくれる探偵や警部などがいなかったから、トリックがわからない部分がありちょっともやもやが残りました。

キャスト

フランシス・J・クインキャノン – バリー・フィッツジェラルド
エドワード・G・アームストロング – ウォルター・ヒューストン
フィリップ・ロンバード – ルイス・ヘイワード
ヴェラ・クレイソーン – ジューン・デュプレ
ウィリアム・ヘンリー・ブロア – ローランド・ヤング
ニキータ・スターロフ – ミシャ・オウアジョン・マンドレイク – C・オーブリー・スミス
エミリー・ブレント – ジュディス・アンダーソン
トマス・ロジャース – リチャード・ヘイデン
エセル・ロジャース – クイニー・レナード

作品データ

原題:And Then There Were None
製作:1945年/アメリカ
監督:ルネ・クレール
脚本:ダドリー・ニコルズ
原作:アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」

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