アガサ・クリスティー ミス・マープル、シーズン2第4話「シタフォードの謎」のあらすじと感想です。
雪に閉ざされたシタフォード荘に滞在中のミス・マープル。シタフォード荘の主人は次期大統領候補トレヴェリアン大佐で、エグザンプトンのスリー・クラウン館に大佐が滞在中に殺されてしまいます。
あらすじ
次期首相候補のトレヴェリアン大佐はクラブに行くと、酔った被後見人のジムが文句を言ってくる。大佐から受け取った、態度を改めないと遺言から外すという内容の手紙を持っていて、かなり怒っている。大佐は手紙など書いた覚えがない。
大佐はシタフォード荘へ戻る列車でミス・マープルと一緒になり、偶然にも彼女の甥レイモンドの家は大佐の家のお隣りなので、一緒に帰ることに。
翌日になっても吹雪が続いていてトレヴェリアン大佐はレイモンドから、叔母ジェーンをシタフォード荘に滞在させてほしいと頼まれる。
叔母と一緒に過ごすはずだったがフランスから戻れなくなり、叔母のことが心配だとのこと。
マープルはシタフォード荘にやって来て、電話中の大佐に手を振って挨拶をする。
大佐はエグザンプトンにあるホテル、スリー・クラウン館に泊まることに。
その夜、ウィリット夫人の提案で大佐や他のホテルの滞在客も参加し降霊会を開くと、トレヴェリアン大佐が死ぬというメッセージを受け取る。
シタフォード荘にジムがやって来て大佐がエグザンプトンのホテルに泊まると聞き、雪の中を歩いてエグザンプトンへと向かう。
ジムの婚約者エミリーと、エミリーの親類チャールズはジムを探しにシタフォード荘へやって来る。
大佐の政務官でもあるエンダービィが飼っている鷹が大佐宛に届いたゼリーをついばんでいた。
マープルはエミリー達とおしゃべりしながらゼリーを食べようとすると、突然、鳥が死んでしまう。
何者かが大佐を殺そうとゼリーに毒を入れて送って来たらしい。
トレヴェリアン大佐の身が心配になったエンダービィはホテルに向かい、少し遅れてチャールズもエンダービィの後を追う。
2人が大佐の部屋に行ってみると、胸をナイフで刺されて死んでいた。
雑感
ミス・マープルが出て来ない作品に、マープルさんを絡めたなかなかチャレンジングなエピソードです。
作品としては楽しめたけど、ちょっと詰め込みすぎでお腹いっぱいになりました。
トレヴェリアン大佐の死、エジプトの謎、脱獄囚、エミリーをめぐる恋愛関係など、盛りだくさんだったけど、ちゃんと収まるべきところに収まった感じ。
マープルさんの甥レイモンドの家がトレヴェリアン大佐の隣だったり、その縁でマープルさんが大佐の家で過ごすことになったり…。
世間は狭いなんてもんじゃないくらい、偶然が重なりすぎです。
さらに、レイモンドの元婚約者エミリーがジムの婚約者で、大佐の家でマープルさんと再会するなど、ちょっと無理がある部分もありましたね。
元婚約者の叔母に今の婚約者の家で会うとは、エミリーも相当気まずかったでしょう。
マープルさんは完全に安楽椅子探偵に徹していて、シタフォード荘の資料とエミリー達から聞いた話だけで犯人を見つけ出しました。
エミリーは犯人だと疑われているジムを救いたかったし、チャールズは記者特有のカンが働いて、注意深く観察しマープルさんに報告したのでしょう。
エミリーは美しくて賢そうなのに、何であんな飲んだくれのジムなんかと婚約したのか疑問です。
事件後にジムは「俺は変わる」なんて言っていたけど、相変わらず酒を飲んでいつも通りって感じでした。
最後にはエミリーもジムのクズっぷりに気づいたのか、婚約解消して旅行に行ったのは正解ですね。
マープルさんが甥のレイモンドと背格好が一緒だと、出掛ける間際のトレヴェリアン大佐にセーターの袖を当てていたのがとてもかわいくて、お気に入りのシーンです。
キャスト
■ ミス・ジェーン・マープル – ジェラルディン・マクイーワン
甥レイモンドの家のお隣り、シタフォード荘に泊まっている。
シタフォード荘の主人トレヴェリアン大佐の殺人事件を推理する。
■ クライブ・トレヴェリアン – ティモシー・ダルトン
シタフォード荘の主人で、次期首相候補。
エグザンプトンのホテルで殺される。
■ アーサー・ホプキンス – ロバート・ヒクソン
エジプトで発掘作業をしていた教授。
■ ウィンストン・チャーチル – ロバート・ハーディ
現在の首相で、次期首相候補としてトレヴェリアン大佐を推している。
■ ジェイムズ・ピアソン – ローレンス・フォックス
トレヴェリアン大佐の被後見人。
遺言から外すという手紙を受け取り、大佐に腹を立てている。
■ チャールズ・バーナビー – ジェームズ・マーレイ
トレヴェリアン大佐にインタビューを目論む新聞記者。
エミリーに取り入り、大佐に会おうとする。
■ エミリー・トリフューシス – ゾーイ・テルフォード
ジムの婚約者。
大佐殺しの容疑者としてジムが拘束され、事件を調べ始める。
■ アハメド・ガリ – ジェフリー・キッスーン
シタフォード荘の従者。
■ ジョン・エンダービィ – メル・スミス
トレヴェリアンの政務官。
トレヴェリアンの身に危険が迫っていると見て、吹雪の中ホテルへと向かう。
■ エリザベス・パースハウス – リタ・トゥシンハム
ホテルの滞在客。
メガネが見つからず、視界がぼんやりしている。
■ スタンリー・カークウッド – ジェームズ・ウィルビー
トレヴェリアン大佐達が滞在しているホテルの主人。
■ アンブローズ・バート – ポール・ケイ
ジマーマンの専属医師。
実は医師免許は持っていない。
■ マーティン・ジマーマン – マイケル・ブランドン
金持ちのホテルの滞在客。
トレヴェリアン大佐に書類にサインしてくれと頼む。
■ ヴァイオレット・ウィレット – キャリー・マリガン
ウィレット夫人の娘。
内気な性格で、いつも母親から文句を言われている。
■ エヴァドネ・ウィレット夫人 – パトリシア・ホッジ
ホテルの滞在客で、ヴァイオレットの母。
バードウォッチングについて聞かれ、冬毛で丸々していると答える。
■ ドナルド・ガーフィールド – マシュー・ケリー
スミス-ジョーンズという偽名で宿泊。
次期首相候補の地域について調べに来た。
■ アーチー・ストーン – マイケル・アトウェル
ホテルの料理人。
作品データ
原題:The Sittaford Mystery
放送日:2006/4/30
監督:ポール・アンウィン
脚本:スティーヴン・チャーチェット
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