アガサ・クリスティー ミス・マープル、シーズン3第2話「無実はさいなむ」のあらすじと感想です。
ミス・マープルは友人から結婚式に招待され、サニー・ポイントに滞在します。嵐の夜、謎の男がサニー・ポイントへ訪ねて来て、2年前に女主人を殺したのはジャッコではないと告げます。
あらすじ
富豪のレイチェル・アーガイルは子供に恵まれず、不幸で貧しい子供達を数人養子にしていた。
そのうちの1人ジャッコがお金の無心にやって来て断ると、殺してやると暴言を吐いて帰って行く。
その夜、レイチェルは頭を殴られて死亡し、ジャッコは犯人として逮捕され死刑になった。
2年後、死んだレイチェルの夫リオと秘書のグウェンダが結婚することに。
グウェンダはお世話になったミス・マープルに、結婚式に来てほしいと招待の手紙を出す。
マープルはグウェンダの結婚を喜び、結婚式の数日前にグウェンダとレオ、彼らの子供達が住むサニー・ポイントへ行く。
外は雨でアーガイル家の家族とマープルは楽しく過ごしていると、雨の中、見知らぬ男がやって来る。
彼は大学で動物の生態などについて教えている学者のアーサー・キャルガリ。
レイチェルが殺された夜、アーサーはジャッコを車に乗せ、アリバイを証明できる証人だと語る。
事件直後から南極へ行き当時は事件のことは何も知らず、最近、古い新聞を見て事件を知りここへやって来たとのこと。
アーガイル一家は全員動揺し、アーサーに帰ってくれと伝える。
アーサーはジャッコが無実だと知れば家族が喜ぶと思っていた。
やがて、レイチェルを殺した犯人は、グウェンダなのではと疑いが向く。
グウェンダはマープルにも協力してもらって、色々と調べて疑いを晴らそうとする。
ある夜、リオは家族を守るため、グウェンダに家を出て行ってほしいと頼む。
自室で悲しみに暮れウェディングドレスを身に着けたグウェンダは、何者かに刺されて死亡する。
雑感
原作はマープル物ではないノン・シリーズ。
グウェンダがマープルの家に奉公していたという設定で、自然にマープルさんを交えた作品になっていますね。
人間のことをよくわかっていないと言いつつも、真犯人がわかるまで手伝うと決めたキャルガリ先生のキャラがなかなか良かったです。
見た目はちょっとおどおどしていて自信がなさそうだけど、必要な時には脅しのテクなども使ってがんばっていた姿がちょっと頼もしく見えました。
マープルさん、目や耳で情報収集して推理するだけじゃなく、意外とスキルもあるんですね。
ピンを使って書斎の金庫を簡単に開けてしまうなんて、かなりビックリしました。
「レイモンドがよく鍵を無くすから…」と言っていたけど、いまだに名前だけでレイモンドは登場していないし、そんなにしょっちゅうレイモンドと過ごしているようには見えないから、ちょっと不思議でした。
アーガイル家の人々はちょっとクセのある家族が多いけど、主人のリオがなさけないったらないです。
グウェンダを一番守ってあげないといけない立場なのに、誰かがちょっとグウェンダを疑っただけでそっぽを向いてしまって部屋にこもるなんて。
とても結婚間近の男性とは思えない態度です。
グウェンダは自分の潔白を証明しようとがんばっていたのに、追い打ちをかけるように家を追い出そうとするなんて、ひどすぎますね。
今回はマープルさんの活躍はちょっと地味めで、最後の謎解きが最大の見せ場でした。
自分が仕込んだ元奉公人が窮地に立たされ殺されてしまったから、もっと積極的に捜査に関わってほしかったです。
謎解きの時の表情はキリっとしていてカッコ良かったし、確たる証拠がなかったけど人の心理を突いて犯人を追い詰めていったのはさすがですね。
キャスト
■ ミス・ジェーン・マープル – ジェラルディン・マクイーワン
グウェンダから結婚の手紙をもらいサニー・ポイントへ行く。
女主人レイチェル殺害の真犯人探しに協力する。
■ グウェンダ・ヴォーン – ジュリエット・スティーヴンソン
リオ・アーガイルの元秘書で、リオと結婚予定。
レイチェル殺しの犯人ではないかと周りから疑われる。
■ リオ・アーガイル – デニス・ローソン
死んだレイチェルの夫で、グウェンダと結婚式間近。
ジャッコが犯人ではないとわかった後、本が出版される。
■ カーステン・リンツトロム – アリソン・ステッドマン
アーガイル家のメイド。
マープルにアーガイル家の家族のことを説明し、グウェンダが怪しいと一番疑っている。
■ フィリップ・デュラント – リチャード・アーミティッジ
メアリーの夫で、1年半前から車いす生活をしている。
レイチェルが探偵に彼の身辺調査をさせていた。
■ へスター・アーガイル – ステファニー・レオニダス
アーガイル家の養子。
事件の夜、ジャッコを追いかけて行く。
■ メアリ・デュラント – リサ・スタンスフィールド
アーガイル家の養子で、フィリップの妻。
真面目な性格で、夫が浮気していることに感づいている。
■ ジャッコ・アーガイル – バーン・ゴーマン
アーガイル家の養子で、レイチェル殺害で死刑になる。
誰かをかばっていた可能性あり。
■ レイチェル・アーガイル – ジェーン・シーモア
養子をもらって、子供達のためにサニー・ポイントを建てた。
子供達に愛情を注がず、管理していた。
■ ボビー・アーガイル – トム・ライリー
ジャッコの双子の兄弟。
アーガイル家の財産を管理している。
■ ヒュイッシ警部補 – リース・シェアスミス
レイチェル殺害事件を担当。
捜査再開となり、関係者を1人ずつ呼んで尋問する。
■ アーサー・キャルガリ – ジュリアン・リンド=タット
ケンブリッジ大学の動物学の学者。
ジャッコのアリバイの証人で、マープルらと調査を始める。
■ ティナ・アーガイル – ググ・バサ=ロー
アーガイル家の養子。
事件当夜の目撃者が現れ、アリバイが崩れる。
■ モーリーン – アンドレア・ロウ
ジャッコの妻。
ジャッコが刑務所に入り、アーガイル家を訪ねる。
■ ジョン・クロカー – マイケル・フィースト
レイチェルが依頼した私立探偵。
フィリップの素行調査をしていた。
■ ミセス・プライス – ピッパ・ヘイウッド
シリルの母で、息子を警察に連れて行く。
■ シリル・プライス – ジェームズ・ハラン
レイチェルの殺害時刻近辺に、ティナのバイクを見たと証言する。
■ リンジー – カミーユ・コドゥリ
ジャッコは女たらしで年上にモテて、彼に惚れて金を工面した。
■ ミッキー・アーガイル – ブライアン・ディック
アーガイル家の養子。
事件当夜はサニー・ポイントにいなかった。
作品データ
原題:Ordeal by Innocence
放送日:2007/6/3
監督:モイラ・アームストロング
脚本:スチュワート・ハーコート
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