アガサ・クリスティー ミス・マープル、シーズン3第3話「ゼロ時間へ」のあらすじと感想です。
ミス・マープルは旧友カミーラ・トレシリアンに招待され、彼女の住むガルズ・ポイントへ。出席者の1人が死亡し友人も殺され、調査を始めます。
あらすじ
ミス・ジェーン・マープルは学生時代の友達カミーラ・トレシリアンのホームパーティーに招かれる。
客は他に、テニスプレーヤーでカミーラの被後見人ネヴィル、ネヴィルの妻ケイ、ネヴィルの前妻オードリー、オードリーの親類トマス、カミーラの親類メアリー、ケイの友達テッド、カミーラの友達トリーヴス。
テッドとケイ、ネヴィルとオードリーがダンスがダンスで盛り上がっている。
ネヴィルはオードリーに未練がありケイはオードリーに嫉妬、オードリーに思いを寄せるトマスはネヴィルを良く思っていない。
トリーヴスは昔の犯罪について話し始める。
弓矢で遊んでいた子供同士の間で起きた事故で、一方の子に矢が当たって死んでしまった不幸な出来事だった。
しかし、矢を当てた子は以前から弓矢の練習をしていたという目撃情報があったが、目撃者は口をつぐんでしまった。
トリーヴスは事故ではなくこれは計画的な殺人で、その子には身体的特徴があり今でも見ればわかると話す。
パーティーが終わりトリーヴスはホテルに戻るが、エレベーターが故障中で階段で部屋まで戻る。
トリーヴスは元々心臓が悪かったが、翌日、死体で発見される。
トリーヴスが亡くなってから数日後、カミーラが自室で何者かに殴り殺されてしまう。
凶器だと思われるゴルフクラブにはくっきりと指紋が残っていた。
クラブはネヴィルのもので指紋もやはり、ネヴィルのものだった。
また、袖に血の跡が付いたネヴィルの上着が発見される。
犯人はネヴィルだと指し示す証拠ばかりだったが、ネヴィルはその夜、ホテルへビリヤードをやりに行ったと主張する。
やがて、事件の夜、ネヴィルが出かける所を見たという証言があり、ネヴィルへの疑いは晴れる。
雑感
原作にはマープルさんは出て来ない作品です。
ミス・マープルが出ていない作品にマープルさんを当てはめるとどこか違和感を感じるけど、この作品はすごく自然であまり気になりませんでした。
ゼロ時間という主題はややボケてしまったけど、純粋にミステリー作品として楽しめました。
マープルさんとカミーラが学生時代の友達で、そうしょっちゅう会うほどの仲じゃないというのが序盤でよくわかりました。
マープルさんにしゃべる隙を与えないくらいカミーラがポンポンと話題を変えていて、きっと頭の回転が速い人なんでしょうね。
トリーヴスは「身体的な特徴がある」と言っていたけど、登場人物達はみんなそんな特徴がある人ばかり。
トマスの手、オードリーの耳、ネヴィルの指、メアリーの髪など、つい考察したくなる作りでしたね。
一番笑ったのはマープルさんが船からテッドをちょっと押して、泳げるかどうかを試したシーンです。
この時点でマープルさんは犯人をわかっていたんだろうけど、一応、確認するために落としてみたんでしょうか。
目的はわからなかったけど、印象には残りました。
マープルさんに大きなヒントを与えたのは、ダイアナと飼い犬のドナルド。
ドナルドと同じような「生臭いニオイがした」と聞いて、犯人の行動が見えてきたんだと思います。
ドナルドがちゃっかり、マープルさんのお膝の上に乗っていた姿がかわいかったです。
証拠が足りなかったからマープルさんは警視と相談して、ひと芝居打つことにしたのでしょう。
犯人は自分に自信があってトリックは完璧だと思っていたからこそ、プライドを傷つければ自白するはず。
人間心理に詳しいマープルさんらしいやり方だし、犯人も見事に引っかかってくれましたね。
キャスト
■ ミス・ジェーン・マープル – ジェラルディン・マクイーワン
学生時代の友達カミールからパーティーに招待される。
トリーヴス、カミーラが殺され、事件を推理する。
■ トマス・ロイド – ジュリアン・サンズ
オードリーの親類。
オードリーに思いを寄せている。
■ ケイ・ストレンジ – ゾーイ・タッパー
ネヴィルの妻で派手好き。
夫からオードリーと仲良くしてくれと言われるが、彼女に嫉妬する。
■ テッド・ラティマー – ポール・ニコルズ
ケイの友人。
カミールが死んだ夜、ネヴィルとホテルでビリヤードをしていた。
■ ネヴィル・ストレンジ – グレッグ・ワイズ
テニスプレイヤーで、カミーラの被後見人。
不利な証拠ばかり見つかり、カミーラ殺害の容疑がかかる。
■ オードリー・ストレンジ – サフロン・バロウズ
ネヴィルの元妻で、トマスの親類。
ネヴィルの容疑が晴れた後、彼女に不利な証拠が見つかる。
■ メアリー・アルディン – ジュリー・グレアム
カミーラの遠い親類で、彼女の面倒を見ている。
昔から髪の毛にひと房白髪がある。
■ フレデリック・トリーヴス – トム・ベイカー
元弁護士のカミーラの友達で、心臓が悪い。
ガルズ・ポイントでのパーティーの後、心臓発作で死亡する。
■ カーミラ・トレシリアン – アイリーン・アトキンス
ガルズ・ポイントに住む老婦人で、ジェーン・マープルの旧友。
頭を殴られて死亡する。
■ メリック – グレグ・ルーゼドスキ
テニスプレーヤー。
ネヴィルと試合して勝利する。
■ ミセス・ロジャース – ウェンディ・ノッティンガム
マープルらが滞在するホテルを運営。
■ バレット – アメルダ・ブラウン
ガルズ・ポイントのメイドで、トレシリアン夫人のベルで呼ばれることが多い。
事件の夜、出かけるネヴィルを見ている。
■ ハーストル – ピーター・サイモンズ
ガルズ・ポイントの執事。
■ ダイアナ・ブリントン – エレノア・ターナー=モス
マープルらと同じホテルに滞在している少女。
飼い犬ドナルドを連れている。
■ レーゼンビー – ガイ・ウィリアムズ
医師。
トリーヴス、カミーラの検視をする。
■ アリス – ジョー・ウッドコック
ガルズ・ポイントのメイド。
■ マラード警視 – アラン・デイヴィス
カミーラ殺害事件を捜査中。
つたに押し込まれていた手袋を発見する。
■ ティッピング – ベン・メイヘス
マラード警視の部下。
警視と共に捜査を行う。
■ ジョーンズ – トマス・アーノルド
マラード警視の部下。
主に指紋の採取をする。
■ ウィリアムス – スチュワート・ビューリー
マラード警視の部下。
主に部屋の捜索をする。
■ ジョージ – マイク・バーンサイド
船の運転を行っている。
年配でやや耳が遠い。
作品データ
原題:Towards Zero
放送日:2007/1/28
監督:デビッド・グリンドリー、ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本:ケヴィン・エリオット
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