ミス・マープル/寄宿舎の殺人(1963)

ミス・マープル/寄宿舎の殺人-1963年 アガサ・クリスティー

1963年のイギリス映画「ミス・マープル/寄宿舎の殺人」のあらすじと感想です。

あらすじ・感想

マーガレット・ラザフォード版ミス・マープルの2作目です。

ミス・マープルとストリンガーは募金を集めるため、町の家を1件ずつ回っています。
町のはずれにあるお金持ちのエンダビーさんの家に行くと、誰かが馬に乗って去って行きました。
しかし、マープルとストリンガーはエンダビーは寄付してくれないともめている最中だったので、誰かが去って行くのを見ていません。

マープルは譲らずエンダビーの家に近づいてみるとドアが開いています。
2人が中に入るとエンダビーが苦しそうに胸を押さえ、階段から転げ落ちてそのまま死んでしまいました。

近くには泥の塊が落ちています。
エンダビーはかなりのお年だったので、普通に心臓発作か何かの病気で亡くなったのではないでしょうか。

上で物音がするので行ってみると、猫が飛び出してきました。
エンダビーは普段から猫を異常なほど怖がっていたから、恐怖で心臓発作を起こしたのではないかとマープルは見ています。

誰かがエンダビーを殺そうとして彼が大キライな猫を部屋に放り込み、わざと心臓発作を起こさせた…。
つまり、殺人事件というわけですね。

マープルは顔見知りのクラドック警部補に話に行きますが相手にされず、自分で捜査すると伝えます。
さすが、このシリーズのマープルはすごく能動的で、自ら動くというのが鉄則ですね。

マープルとストリンガーはお料理中です。
2人のエプロン姿が妙にかわいいですね。
上の段ではパンを焼いていて、下の段では泥の塊の型を石膏で作っていました。

ちょっと形の崩れたケーキみたいに見えたのですが、中から出て来たのがコレですね。
マープルさんは料理の腕にも自信があるみたいで、失敗なんかしないそうです。

エンダビーが殺されたとなると、得をするのは誰か?
マープルとストリンガーは弁護士事務所の前まで来て、2階の窓の外からエンダビーの遺言書の読み上げを盗み聞きします。

この2人のやり取りは本当に面白いですね。
ストリンガーはマープルが会話を聞けるように物と積み重ねて、彼女を上に登らせます。

エンダビーの遺産は4人の親族で分配されるようですね。
そのうちの1人でエンダビーの妹コーラは兄は殺されたと口走り、マープルはしっかりと彼女が言ったことを耳にします。

マープルのにらんだ通り、エンダビーは殺されたようですね。
死ぬ前にエンダビーはコーラに何か話していたのでしょうか。
タイミング悪くクラドック警部補が現れてマープルとストリンガーに注意し、2人は帰って行きます。

マープルはコーラに会いに行きますが、彼女は帽子用のピンで刺され殺されていました。
遺体の状況を確かめていると家政婦のミルクレストが戻って来て、マープルがコーラを殺したと勘違いしてしまいます。

ミルクレストに自分は殺していないと伝え、警察に連絡します。
クラドック警部補がやって来てミルクレストから事情を聞きます。

マープルは警部補に小旅行に行くと伝えると、クラドックはちょっとほっとした様子でした。
捜査に首を突っ込まれるとめんどくさいことになりそうだから、マープルが満足して手を引いたと思っていますね。

当のマープルはギャロップホテルに行くことにします。
このホテルは乗馬ができる場所がありエンダビーの甥ヘクターが経営していて、エンダビーのいとこのジョージ、姪のロザムンドが滞在中。

マープルも乗馬道具を持って来ていて、ロビーでクラドック警部補と偶然会い「お久しぶり」とあいさつします。
どうやらマープルは警察と知り合いだとは知られたくないようですね。
そして、コーラの家政婦ミルクレストもこのホテルに泊まるようです。

若い頃のマープルの乗馬の腕はスゴいらしく、ヘクターは「あのマープル?」と驚き喜んでいます。
マープルを気に入ったヘクターは彼女を乗馬に誘いますが、ちょうど車が通りヘクターの乗った馬がびっくりして彼を振り落としてどこかへ行ってしまいました。

ヘクターは足に怪我をしてマープルの馬に乗り、マープルは馬を引っ張ってホテルまで戻って来ます。
マープルがヘクターのブーツを脱がすところが最高に面白い!
マープルはお尻を向けてブーツを脱がすふりをして、ちゃっかり石膏の型とヘクターのブーツを比べています。
型とは一致しなかったようで、ちゃんとブーツを脱がせてあげて休むよう伝えます。

エンダビーの親族は怪しい人だらけです。
ヘクターはミルクレストに殺人があった家に住むのは怖いだろうから、ホテルに滞在するようすすめています。
エンダビーが死ぬ少し前にコーラを訪ねていて、ヘクターは2人の会話を何か聞いていないかミルクレストに探りを入れていました。

エンダビーのいとこジョージはお金に困っていて、結婚しているロザムンドに言い寄ったりしています。
マープルが彼の部屋の前にあったブーツをいじくっていて、彼女を警戒しているようです。

姪のロザムンドはクールビューティー。
彼女の夫マイケルもまたお金に困っていて、エンダビーが死んだ日にお金を借りようと彼の屋敷に行っています。
遺産絡みで誰もが容疑者だと考えられます。

マープルが仮眠を取っていると何者かが部屋に忍び込んで、ガス栓をひねって殺そうとします。
めざましが鳴ってマープルは目覚め、臭いに気づいてガスを止めて窓を開け「危なかった」とつぶやきます。

殺されるところだったのに、マープルはあまりガスのことを重要視していないみたいですね。
みんなに寝る前に散歩する習慣だと告げて、馬具置き場へと向かいます。
ここには滞在客みんなの乗馬靴が置いてあり、型と一致するものを探しやすいからですね。

運悪く馬具の手入れのためにヒルマンが戻って来て、乗馬靴をまとめて持って行ってしまいました。
マープルもホテルへ戻り、すきを見て調査するつもりです。

椅子に座って雑誌を読むふりをしていると、部屋の中からジョージとロザムンドが言い争いをしていました。
コーラが持っている絵を2人とも欲しがって口論していて、ヘクターが自分があずかると言ってその場は収まります。
やがて第3の殺人が起きてしまいます。

マープルはストリンガーを呼んで協力してもらい、やっと犯人が誰だか気づきます。
犯人に罠をしかけてあぶり出すのですが、その方法が実に秀逸でした。

見所は終盤のストリンガーとマープルのダンスシーンですね。
軽やかなステップとまではいきませんが、2人はとても楽しそうに踊っていました。
そして、事件で知り合った男性からマープルへのプロポーズは定番になりつつありますね。

キャスト

ミス・ジェーン・マープル – マーガレット・ラザフォード
ジム・ストリンガー – ストリンガー・デイヴィス
クラドック警部補 – チャールズ・ティングウェル
ヘクター・エンダビー – ロバート・モーレイ
ミス・ミルクレスト – フローラ・ロブソン
ベーコン巡査 – ゴードン・ハリス
ジョージ・クロスフィールド – ロバート・アーカート
ロザムンド・シェーン – カティア・ダグラス
マイケル・シェーン – ジェームズ・ヴィリアーズ
トランデル – ノエル・ハウレット

エンダビー氏 – フィンレイ・カリー
ヒルマン – ダンカン・ラモント
マークウェル医師 – ケビン・ストーニー

作品データ

原題:Murder at the Gallop
製作:1963年/イギリス
監督:ジョージ・ポロック
脚本:ジェームズ・P・カヴァナグ
原作:アガサ・クリスティ「葬儀を終えて」

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