1964年のイギリス映画「ミス・マープル/最も卑劣な殺人」のあらすじと感想です。
あらすじ・感想
マーガレット・ラザフォード版ミス・マープルの3作目です。
ある夜、自転車に乗った巡査はビールを1杯飲んで仕事に戻ると、窓から女性の首吊り死体のシルエットを発見します。
巡査は仕事中だったのにお酒なんか飲んで、上から怒られないのでしょうか。
ビールを売っていた店主は全く姿を現さず、窓から手だけ出してビールを渡したりお代を請求したりしていて、何となくおしゃれですね。
巡査が部屋に行ってみると、若い男がロープに手をかけているのを発見します。
どう考えても若い男が女性を殺し、自殺に見せかけた現場に巡査が駆けつけたように見えますね。
床にはお札がばらまかれ、バラが置いてありました。
若い男ハロルド・テイラーは裁判にかけられ、ミス・マープルは陪審員席にいます。
編み物をしていてカチャカチャとぶつかる編み棒の音がうるさいと、裁判長に注意されていました。
しばらくして評決が言い渡されようとしましたが、陪審は評決に達しなかったとのこと。
誰もがハロルドを犯人だと思ったようですがミス・マープルだけは違っていて、ハロルドは冤罪だと無罪に投票したみたいですね。
ハロルドは殺されたマーガレット・マギンティ夫人の下宿人で、夫人の老後の資金を狙って殺したと警察は見ています。
裁判は新しい陪審員を選んで、新たに再開されるとのこと。
このままではハロルドは有罪にされてしまうと、ミス・マープルは自ら事件を調べ始めます。
今回もしっかりとマープルさんをサポートするストリンガーもいて、2人のコミカルな様子が楽しめます。
まずは現場を調べようと、マープルさんが教会のバザーへの寄付を理由にマギンティ夫人の家へ入れてもらいます。
足をドアの間にはさんで、半ば強引に侵入したのが面白かったです。
次にストリンガーがマギンティ夫人の家へ行って家族を引き留め、その間にマープルさんが夫人の部屋を色々とあさって手がかりを見つけました。
巡査が怪しげなマープルさんとストリンガーの姿を見かけ、すぐにクラドック警部補が飛んできました。
警察では片付いた事件だから、余計なことはするなとくぎを刺して帰って行きます。
クラドック警部補はマープルさんの実力を知っているはずなのに、少しは耳を貸そうという考えにはならないのでしょうか。
マギンティ夫人の家で見つけた新聞はところどころ切り抜かれていて、マープルさんは切り抜かれた言葉を組み合わせ犯人の動機に気づきます。
マギンティ夫人は誰かを脅していて、脅された犯人が彼女を殺しました。
しかも、犯人は色んな町をめぐっているコスグッド劇団の一員です。
さっそくマープルさんは劇団のオーディションを受け、劇団のメンバーになりました。
団長のコスグッド氏はマープルさんを不合格にしようとしたけど、マープルさんは金持ちっぽい芝居をして無給でいいと言ったとたん、態度をひるがえし合格に。
この変わり身の早さがコスグッドの性格を表していますね。
すぐに事件が起きてしまいます。
ふらふらと入って来た劇団員のジョージがその場に倒れてしまいました。
コスグッドは酒の飲みすぎだと言いますが、マープルさんが確認すると息がありません。
クラドック警部補らがやって来て、ジョージは毒殺されたと言います。
ジョージがマギンティ夫人に脅されていて彼が夫人を殺し、罪の意識に耐え切れず毒薬を飲んで自殺したと警察は見ています。
マープルさんは自分の考えを警部補に伝え、劇団員達の銀行口座を調べるよう伝えます。
クラドックは簡単な事件がちょっと複雑になり、マープルさんが言っていたようにハロルドが冤罪だったとわかり、ちょっと不服そうでしたね。
警察としてのプライドもあるし、実力は認めているとはいえ老婦人の言いなりになるのが悔しかったのでしょう。
マープルさんは他の劇団員と同じホテルに移って来ます。
ベッドには1951年の「9月を思い出せ」の脚本が置かれていました。
ここで事件のヒントが現れましたね。
マギンティ夫人が新聞で作った脅迫状のワンフレーズで、この芝居が事件と何か関係がありそうです。
マープルさんはストリンガーに、1951年の「9月を思い出せ」の芝居に出ていた出演者のリストを調べてほしいと頼みます。
恐らく、この芝居に出ていた出演者で、現在も残っている劇団員が犯人なのでしょう。
殺人事件が起きて上演をどうしようかと話が持ち上がり、1週間休演して新しい芝居をやろうと決まります。
演目は「シチュー鍋」という推理モノで、女探偵にマープルさんが大抜擢されました。
脚本では男の探偵でしたが、マープルさんの肝の据わった感じがみんなに伝わったのか、まさに彼女にぴったりな役柄ですね。
劇団員達の銀行口座を調べたクラドック警部補は、マギンティ夫人の遺体の周りにバラまかれた100ポンドはジョージの口座から引き出されたものだったと報告に来ます。
やはり、警察はジョージがマギンティ夫人からジョージが金をせびられて、銀行からおろしたとしか思っていないみたいです。
マープルさんは犯人がジョージの口座から金を引き出し、それが本人にバレないようにジョージを殺したと思っています。
警察の目をあざむくことができる犯人はなかなか頭のいいヤツです。
しかし、マープルさんも負けてはいません。
芝居の稽古中に犯人にプレッシャーを与えようと、ひと芝居打ちました。
まるで、自分が全てを知っていて、自分を狙えと言っているようなものです。
マープルさんの思った通り犯人は動き出し、次の殺人が起きてしまいます。
マープルさんは部屋の前で誰かが落としたメモを発見。
1時にキッチンで会おうと書かれていました。
その時刻に部屋を出たのは、劇団員のドロシーです。
マープルさんはドアの外をこっそり見張ることができるように傘に手鏡を付けて、天窓から外の様子をうかがっていました。
探偵の小道具まで自作してしまうなんて、スゴいぞマープルさん!
キッチンに行ってみると変な臭いがして、すぐに窓を開けます。
そこにはドロシーが倒れていて、青酸ガスを吸って死んでいました。
相変わらずたくましく活動的なマープルさんは、見事に事件を解決します。
青酸ガスの謎解きもお見事だったし、犯人をあぶりだす方法も素晴らしかったです。
今回はあまり出番がなかったストリンガーですが、相変わらず裏でしっかりマープルさんをサポートしていましたね。
このコンビの軽やかな会話がいつも楽しいんですよね。
マープルさんは犯人に自分を狙わせ、ちゃんと前もって準備をしていてしっかり仕留めた手腕も素晴らしかったです。
まきぞえになったクラドック警部補はお気の毒でしたが、昇進できてよかったですね。
キャスト
ミス・ジェーン・マープル – マーガレット・ラザフォード
ジム・ストリンガー – ストリンガー・デイヴィス
クラドック警部補 – チャールズ・ティングウェル
ドリフォルド・コスグッド – ロン・ムーディー
クロスビー判事 – アンドリュー・クルークシャンク
グラディス・トーマス – メグス・ジェンキンス
ハリス・タンブリル – デニス・プライス
ラルフ・サマーズ – ラルフ・マイケル
ビル・ハンソン – ジェームズ・ボラン
シーラ・アップワード – フランチェスカ・アニス
イーヴァ・マクゴナガル – アリソン・シーボーム
ウェルズ巡査 – テリー・スコット
モーリーン・サマーズ – ポーリン・ジェイムソン
ジョージ・ロートン – モーリス・グッド
ドロシー – アネット・カー
ブリック巡査部長 – ウィンザー・デーヴィス
アーサー – ニール・ステイシー
フローリー・ハリス – ステラ・ターナー
作品データ
原題:Murder Most Foul
製作:1964年/イギリス
監督:ジョージ・ポロック
脚本:デビッド・パーサル、ジャック・セドン
原作:アガサ・クリスティ「マギンティ夫人は死んだ」


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