情婦(1957)

情婦-1947年 アガサ・クリスティー

1957年のアメリカ映画「情婦」のあらすじと感想です。

あらすじ・感想

弁護士のウィルフリッド卿は病気で数カ月ほど入院していましたが、看護師のミス・プリムソンに付き添われて晴れて退院します。
友人や従業員が出迎えてくれてある者は喜びの詩を朗読しようとしますが、ウィルフリッドは仕事を優先するよう言います。

ウィルフリッドは退院したばかりにしてはお元気だし、いつも何かに文句を言っている批判的な人に見えますね。

ウィルフリッドの健康面を考えて階段にはリフトが取りつけられ、楽しそうに昇り降りする姿が何だかかわいかったです。

プリムソルは看護師としてすごく優秀です。
ウィルフリッドが杖にこっそり葉巻を隠しているのを見抜いて、すぐに取り上げてしまうほどです。

プリムソルはお昼寝の時間だとウィルフリッドを呼びに行きますが、ちょうど来客がありました。
弁護士のメイヒューと依頼人のレナード・ヴォールです。
看護師の言うことを聞いてウィルフリッドは断るつもりだったのですが、メイヒューが葉巻をポケットに入れているのに気づいてオフィスに呼びます。

看護師に気づかれないように葉巻をもらってこっそり葉巻を吸いながら、レナードの話を聞きます。
仕事目当てというよりも葉巻目当てだというのがユニークだし、マッチがないからレナードをオフィスに入れたのも面白いですね。

レナードは人好きするタイプで、無邪気で明るく素直な青年に見えます。
彼は金持ちの中年女性エミリー・フレンチ殺害事件の容疑をかけられています。

たまたま通りかかった店の外からエミリーを見かけ、帽子選びを手伝ったのがきっかけです。
2回目に映画館で偶然出会い、そこから週に1回くらいおしゃべりをしたりお茶を飲む友達のような関係になったとレナードは語ります。

ウィルフリッドは片メガネのテストを行いレナードは合格します。
どんなテストかというと、片メガネの光を相手に当てて厳しい質問をいくつかして、相手の言動を見て真実を言っているのか嘘をついているのか見抜くというテストですね。

レナードにはアリバイがなく状況証拠は不利なものばかり。
家に帰った時間だけが頼りで、それを証明できるのは奥さんのクリスチーネだけです。

新聞にはエミリーの遺産8万ポンドをレナードが相続すると書かれてあり、レナードは初めてそのことを知ったらしく大喜びしています。
素直なのか間抜けなのかわかりませんが、レナードが本当にうれしそうなのがかわいいですね。
遺産の件でレナードの容疑がさらに強まり、とうとう警察に逮捕されてしまいます。

そして、ストーリーは進んでいきます。
とにかく驚きの連続で、最後まで面白く見ることができました。
中盤からはほとんど法廷でのやり取りですが、間延びすることなくメリハリが効いていたいましたね。

登場した時は文句の多い年老いた元弁護士という印象だったウィルフリッドも、法廷での姿を見ているうちにカッコ良く見えてきました。
依頼人の命がかかっているからと信念を持って弁護を担当し、自分の健康はさておいて依頼人のことを第一に考える素晴らしい人です。

プライベートでは相変わらずわがまま放題なんですが、法廷での活躍を見た後だとそれも許せてしまいます。

おしゃべりな看護師ミス・プリムソンとのやり取りはテンポも良く楽しかったですね。
ウィルフリッドはプリムソンの目を盗んでいかにズルをするかを考えているけどバレてしまったり、時にはバレずに巧妙に彼女を出し抜いてお目当ての物を手に入れたりするのが、ゲームみたいでした。

終盤になるとあれだけウィルフリッドの体だけを気づかってうるさく言っていたプリムソンも、彼の良き理解者になってくれました。

個人的にはウィルフリッドはバミューダパンツをはく機会があったのかどうか、気になります。

言うまでもなくクリスチーネの怪しい魅力や美しさ、沈着冷静な様子は迫力がありましたね。
最初にウィルフリッドのオフィスにやって来た時から何かを深く考えているみたいで、落ち着き方がハンパなかったです。

ウィルフリッドの片メガネのテストも立ち上がってさっとスクリーンカーテンを下ろし、ウィルフリッドの決め手を封じられてしまいましたね。
最初はウィルフリッドもブローガン弁護士に任せるつもりでしたが、クリスチーネの油断ならない謎めいた部分や迫力を感じたからこそ、自ら弁護を担当することにしたのでしょう。

検察側の証人として彼女が現れた時の驚き、再度証人席に座った時の態度や様子など、何とも圧巻でした。

「絶望的なケースの救いの神」ウィルフリッドの活躍、強い女性クリスチーネの望み、そしてレナードの「絶望的ケース」がどんな風に幕を閉じるのかなど見所満載で、最後まで目が離せない作品でした。

キャスト

レナード・ヴォール – タイロン・パワー
クリスチーネ・ヴォール – マレーネ・ディートリッヒ
ウィルフリッド・ロバーツ – チャールズ・ロートン
ミス・プリムソル – エルザ・ランチェスター
ブローガンムーア – ジョン・ウィリアムス
メイヒュー – ヘンリー・ダニエル
カーター – イアン・ウルフ
マイヤーズ – トリン・サッチャー
エミリー・ジェーン・フレンチ – ノーマ・ヴァーデン
ジャネット・マッケンジ – ウナ・オコナー

裁判長 – フランシス・コンプトン
ハーン – フィリップ・タング
ダイアナ – ルタ・リー

作品データ

原題:Witness for the Prosecution
製作:1957年/アメリカ
監督:ビリー・ワイルダー
脚本:ビリー・ワイルダー、ハリー・カーニッツ
原作:アガサ・クリスティ「検察側の証人」

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